おんまはみんなパッパカ走る

思い起こしばなし

昔の子供は、危ない事こそが遊びだった

 

最近は公園から遊具が無くなりつつある。

 

理由は子供が怪我をするから。

 

時々ニュースで、子供が公園の遊具に頭をぶつけて

意識不明だとか、指を遊具に挟んで切断したとか聞く。

 

自分は子供の頃の、ニュース事情を知らないので

昔もこのような事象が、ニュースとして流れていた

かどうかは判らないが、遊具も子供の遊びも

明らかに、昔の方が危険だったハズだ。

 

多分、昔は子供の数も多かったし、今よりももっと

沢山の子供に関する事故が、発生していたのだと思う。

 

今は子供の人数が少なくなり、子供自体の希少さが増し

ニュース自体も、新聞やテレビだけでなく

ネットでも流れ、クチコミも昔以上に、あっと言う間に

拡がる時代になって、遊具に関する危険性も

よりクローズアップされているのだろう。

 

しかし考えてみると、危険じゃない遊具なんて

本当に、あるのだろうか?

 

自らの子供時代の事を思い出せば、皆が心当たりが

あると思うが、子供は(もしかして人間そのものが)

個人差こそあれ、危険であればあるほど

面白がる生き物である。

 

子供は、普通に使用すれば安全であろう遊具を

あえて危険にして、新しい方法で遊ぶのが

とっても、楽しいのである。

 

・ブランコ

 

座って、地面に足の着く範囲で、ブラブラしていれば

さほど危険な遊具ではない。

 

さりとて、手を離したならば、変な落ち方をして

怪我をするだろうし、ブランコが動いているさなかに

むやみに近づけば、ブツかって怪我をする。

 

椅子部分からお尻が滑って落っこちれば、お尻が痛いし

落っこちて、そのまま逃げなければ、まだ動いている

椅子部分が頭にぶつかり、脳震盪を起こすかもしれない。

 

大人しく乗っていても、それだけの危険が伴うのに

子供は、けっして大人しくは乗っていない。

 

より高く漕ぐ為に,友達に力一杯背中を押して貰ったり

立漕ぎをしたり、ブランコからジャンプして飛び降りたり

二人乗りをしたり、横漕ぎで横のブランコとブツけあったり

乗ったままで、ブランコのチェーンをグルグルと巻き上げて

戻る時の回転を楽しんだり。

 

・滑り台

 

一人一人が順番を守り、前の人がちゃんと降りてから

次の人が滑り、長ズボンを履いて、手摺りをしっかりと持ち

滑り下りながら、下に降りる寸前に両手で手摺りを握って

しっかりとブレーキをかけ、両足でちゃんと降り立てば

全然、危険な遊具ではない。

 

さりとて、手摺りを持たないで滑ると

スピードが出すぎて、そのまま地面に尻もちをついてしまい

もしかして腰を痛めるかもしれないし、手摺りの持ち方が

中途半端だと、指を捻って捻挫か骨折をしてしまうかもしれない。

 

また、階段を昇る時に、ウッカリと踏み外して怪我をするかも。

 

大人しく使用していても、それだけの危険が伴うのに

子供は、けっして大人しくは遊ばない。

 

前の子が滑っているのに、後ろから追いかけて滑り下りたり

何だったら最初から連なって滑ったり、頭から逆さ滑りしたり

更に、うつ伏せ逆さ滑りになったり、立ったままで駆け下りたり

滑る方から走って掛け昇ったり、それでコケたり

滑る方から昇って行っているのに、あえて上からも滑って来たり

更に上から砂を流したり、玩具の車を落としたり

滑り下りた最後の足場の辺りに穴を掘って、それをジャンプしたり。

 

・シーソー

 

同じ位の体重の子供同士が、両端でシッカリと座り

手摺りをちゃんと持って、お互いに行儀よく

順番にゆっくりと、地面を蹴って上下していれば

そこまで危険な遊具ではない。

 

さりとて、着地の時に足を痛めたり、上側になった時に

バランスを崩したりと、怪我をするリスクはゼロではない。

 

大人しく使用していても、それだけ危険が伴うのに

子供は、ぜんぜん大人しく遊んでくれない。

 

遊んでいるうちに、お互いに競争心が芽生えて

下に着いた途端に素早く地面を蹴って、結局スピード競争になったり

下側になる度にどんどん強く蹴って、自分が上になった時に

勢いで身体をピョンと浮くのを、自らビビッて楽しんだり

何人も同時に乗ったり、片側に1人乗った状態で中心部まで

平均台みたいに歩いたり、真中で一人で足だけでシーソーをする

「ヤジロベー遊び」をしたり、片側に石を乗せて反対側を手で

勢いよく押して、石を遠くに飛ばしたり。

 


・・・とまあ、他にもあるが、書き出すとキリがない。

 

遊具が安全なのに、越したことはないとは思うが

肉食動物の子供が、ジャレあったり、競争したりして

遊びの中から少しづつ、狩りの仕方を覚えていくように

人間の子供も、遊びの中の多少の危険を伴う体験の中から

加減や危険を避ける事を、学んでいくものだ。

 

危ないからと言って、あまりにも大人がそれを排除し

抑制し過ぎると、その子供達が将来大人になった時に

本当の危険を見分ける事や、いき過ぎた行動を抑制し制御する事が

出来るようになるのだろうか?

 

何だか、心配になって来る。