おんまはみんなパッパカ走る

思い起こしばなし

あだ名

最近になって「あだ名」が禁止の小学校が増えているとか。

 

理由は

「相手をイジる(からかう)目的にされる」

「イジメのツールとして使われる」

 

しごく、ごもっともだ。

実際に、子供時代から大人にかけて「あだ名」で

嫌な体験、嫌な思いをしている人も多いのだろう。

 

特に見た目から来る「あだ名」は、なかなかキツイ場合が多い。

 

太っていたら

単純に「ブタ」「デブ」

さらに、名前に括り付けて

「ブタ山」「デブ崎」とか。

 

痩せているヤツは、同じような形で

「デブ」や「ブタ」が「ガリ」とか「ホネ」になる。

痩せていると他にも「モヤシ」「ゴボウ」「ガイコツ」とか。

 

昔は、眼鏡の子が今よりも大分と少なかったし

眼鏡自体もデザインが悪く、色も黒と赤だけで

レンズも凹凸がキツかった。

 

だから現在とは違い、眼鏡をかけているだけで

当たり前のように、「あだ名」の対象となる。

「メガネ」「メガネザル」「グリグリメガネ」とか。

 

眼鏡をしていて、成績がよければ

ハカセ」とか「ガリ勉」とか。

 

女の子だと「メガネババァ」、「メガネブス」とか

呼ばれる場合も。

今思えば、眼鏡とルックスは関係ないのだが。

ただ昔の眼鏡は、今よりも明らかに人をブサイクにしていた。

だから、眼鏡を外すと意外に可愛くて

ドキッ!・・・なんてのも、あるあるだった。

 

眼鏡の「あだ名」は、あとは「仲本」とか。

 

これは「ドリフターズ」パターンで

他にも、面白いヤツは「カトちゃん」

太っているヤツは「ブー」とか「タカギ」

ゴリラっぽいヤツや、下クチビルが大きめのヤツは

イカリヤ」とか「チョースケ」とか。

 

背の低いヤツの「あだ名」は

「チビ」とか「チビスケ」が多かった。

 

俺の同級生など、それだけでは終わらずに

更にどんどんと変化(進化?)していった。

①木村(本名)

②キムチビ(小さい木村。キムチにもかけている)

③キムチン(キムチビが訛って変化した)

④チンゲ(下のチンだけ残って、子供特融の笑いが入った)

 

「チンゲ」など、もはや原型すらとどめておらず

女の子の前で、彼が「あだ名」で呼ばれている時などは

少し、気の毒に思えた。

 

ちなみに「チンゲ」には、いつも一緒に行動していた

背の高い親友がいて、ソイツは中学に入った頃から

鼻毛が目立つようになった。

 

今思うと彼は身長が高かったので、あちこちの体毛の成長も

早熟だったのだろう。

でも、まだ心が子供のままで、鼻毛を処理するという

青年期の行動には至らなかったのだと想像される。

 

当然のごとく、まもなく彼の「あだ名」は「ハナゲ」となった。

「ハナゲ」と「チンゲ」のコンビが成立した瞬間である。

 


・・・ここまで書いていて思うのだが

確かに見た目からくる「あだ名」はキツいのだが

何故かそんな「あだ名」が付いたヤツにかぎって

俺は今でも良く記憶に残っている。

 

俺は小学校の頃、男とばかり遊んでいたので、女の子は

「好きだった子」、「可愛くて気になっていた子」

「仲が良かった子」くらいしか、顔を思い出せないのだが

(充分に思い出しているな・・・。)

何故だか「あだ名」で呼ばれていた女の子は

「あだ名」を思い出せたら、顔までもが思い浮かんで来る。

 

言われる方は傷ついたり、納得できない場合もあるが

大部分の「あだ名」は、相手への親しみのバロメーターでもある。

 

田中、鈴木、中村、山本、佐藤・・・。

タロウ、ヨシオ、カズオ、ケンタ、タケシ、ヒロシ・・・。

ありふれた苗字、ありふれた名前。

何年も生きていると、同じ苗字、同じ名前の人に

幾度となく、会う事も多い。

 

そんな時でも「あだ名」で呼ぶと、

ソイツが「特別な人」になったような気がする。

誰かに「あだ名」で呼ばれると、

ソイツにとって俺は、ただの「田中」ではない気がする。

 

俺の友達が、俺とはあまり面識のない人と「あだ名」同志で

呼び合ったりしていると少し妬けたり、羨ましく思ったりする。

 

変な「あだ名」も、悪い事ばかりではない。

 

実は俺自身も、結構ヒドイ「あだ名」を付けられていた。

当時は多少嫌ではあったが、俺の「あだ名」を呼ぶヤツも

なかなかにヒドイ「あだ名」で呼ばれていたヤツが

多かったので、今思うとそれもまた子供の世界独自の

コミュニケーションであった気もしてしまう。

 

・・・とは言え、あまりエグい「あだ名」は

やめておいた方が無難だし、例え軽くでも

見た目をイジった「あだ名」は、本人が本気で

嫌がっているのなら、やめておいた方が良いだろう。

 

線引きとしては、その「あだ名」を、本人の親御さん前でも

平気で呼べる程度の「あだ名」にしておくのが無難だな

・・・と思うのだが、いかがなものだろうか。