おんまはみんなパッパカ走る

思い起こしばなし

屋台のベビーカステラ

以前、ウチの会社にいた事務員の Aさんの話。

 

彼女は、お祭りが大好きだった。

 

・・・と言うより

お祭りで屋台に行くのが大好きだった。

 

ウチの会社の近くでは、年に何回かお祭りがある。

その度に勿論、屋台も出る。

 

Aさんは屋台が出ると毎回、仲良しの同僚を誘って

二人で屋台めぐりをしていた。

 

中でもAさんお気に入りは、ベビーカステラ

関西では、行列が出来るような有名店もあって

甘い系のお菓子では、屋台の大定番だ。

 

その日は、「えべっさん」。

 

毎年1月10日に壮絶な競争の末、選ばれる福男が有名な

総本社の西宮戎や、参拝客が一番の今宮戎だけでなく

関西では、各地に沢山の小さい戎神社があり1/9~1/11は

どこの戎神社でも、戎祭り(戎参り)をしている。

 

ウチの会社の近くの小さな戎神社でも

当然、その日は屋台が出ていて

Aさんは仕事が終わると、同僚と一緒に

イソイソと「えべっさん」に出かけて行った。

 

取り合えず、お参りを済ませた二人は

早速、屋台を物色。

 

関西でも有数の祭りの日とあって

どこの屋台も、人でいっぱいだ。

 

夕食前の二人は、お腹も空いており

取り合えず、何か食べたいね・・・となり

比較的すいていて、すぐに買えそうな

ベービーカステラの屋台をロックオン!

 

二人とも各自一袋づつ、カステラを買い

これをツマミながら、他も物色しようと

歩き出した。

 

Aさんは、袋からカステラを一つ摘まんで

口に入れると

「おぉ~!」

・・・と、興奮しながら同僚に言った。

 

「このカステラ、すご~い!!

中に、クリームが入っているよ~♪

こんなん、初めて食べた~。。」

 

Aさんは、エラい喜びようだ。

 

同僚の女の子も

「へー!そうなんや~スゴイね。 どれどれ。」

・・・

「ん~? 私のは入ってないよ~。。。」

 

Aさん

「あれ?私、間違って違う種類のん、買うたんかな?

アンタ、こっち食べてみ。」

 

・・・と、同僚に自分のカステラを一つ差し出した。

 

同僚の女の子

「あっ、、うーん。。。」

 

Aさん

「な?? 私のん、入ってるやろ?」

 

Aさんはニコニコ顔で、自慢げに言った。

 

同僚の女の子は、言いにくそうに

「う~ん、これって・・・中が生焼けやねぇ。。。」

・・・と言った。

 

Aさんは、思わず大きい目をますます大きく見開いて

恐る恐る、もうカステラをもう一つ口に入れた。

 

「うーーーん、確かにぃい。。。。」

 


Aさんは、それ以来、カステラ屋台でいちいち

「良~く、焼けているのを下さい!」

・・・と、言っているそうだ。