おんまはみんなパッパカ走る

思い起こしばなし

紙一重の純愛

知り合いの女性の話。

 

彼女は資格を取る為に、短期の資格予備校に行く事にした。

その予備校では、たまたま隣の席に座った年下男性と

よく話をするようになったそうだ。

 

男は、彼女に妙に懐いて話しかけて来ていたが

年上好きの彼女は、彼にはあまり興味無くて

適当にあしらっていたそうだ。

 

資格予備校は2週間ほどで終わり、彼女はその男の事など

すっかりと忘れていたのだが、ある日突然、家にその男から

もう一度会って欲しいと電話がかかってきた。

 

彼女は、彼に家の電話番号なんて教えていないので

なぜ、ウチの電話が分かったのかを男に問いただした。

 

男は彼女との会話の中で、彼女の家が大阪市内で

「ある商売」をしていたのを聞いていた。

 

そしてタウンページ(職業別電話帳)を見ながら

片っ端から電話をかけて、

「そちらに山本恵子(仮名です)さんっていう

女性の方はいらっしゃいませんか?」

と聞いて回ったのだそうだ。

 

ちなみに大阪市にその「ある商売」の店は、当時数百件以上あり

店名も彼女の苗字「山本(仮)」とは、関連が無かったので

本当に二百件近く電話したすえに、彼女の実家の店の電話番号に

たどり着いたのだとか。

 

結果、彼女はその情熱に感動してしまい

その年下男と付き合う事になった。

 


もう一つ、知り合いの女性の話。

 

彼女は、当時勤めていた会社を辞めてキャリアアップの為に

ロサンゼルスに留学する事にした。

 

会社を辞める際には、仕事仲間達が送別会を開いてくれて

とても盛り上がったそうだ。

 

中でも、いつも世話になっていた直属の上司

(男・既婚・18歳年上)は、とても残念がってくれていて

彼とは気も合い、話も良くしていたので、涙ながらに彼女を

激励してくれたのだとか。

 

彼女は送別会の翌日には、ロスへ旅立った。

 

彼女がロスの空港のゲートを出ると、誰かが大きな声で

呼んでいて、よく見るとそれは昨日見送ってくれたばかりの

上司だったそうだ。

 

彼は送別会の時に彼女から、彼女が何時頃ロスの空港に着くかを

聞き出していて、送別会が終わると、すぐその足で渡米し

ロスに先回りして彼女を待っていたのだ。

 

上司は彼女に近づくと、持っていたバラの花束を渡し彼女に

プロポーズをした。

 

彼は彼女に、留学を辞めてこのまま自分と一緒に帰国して

一緒に暮らして欲しいと言ったそうだ。

 

その時まで彼女は、その上司の事を交際対象として見た事が

全く無かった。

彼は18歳年上の上司で、彼女からすればオジさんで

しかも既婚者であったから。

 

俺が本件の女性と知り合いになったのは、この事があった

数年後だった。

俺が当時勤務していた会社に、彼女は普通の新人営業社員

として入って来たのだった。

 

彼女は上司のプロポーズの後、留学を取りやめて帰国し

今現在は、その上司と一緒に住んでいた。

 

既婚者の上司は、彼女と結婚する為に

現在、別居中の奥さんと離婚調停中だ。

 

彼はこの件が会社にバレて、それがきっかけで前の職場を

辞める事となり、自分で仕事を始めたが、いまだに収入が

不安定なので、彼女は自ら仕事に出る事にしたのだそうだ。

 

・・・とは言え、グチっぽく俺にこの話をしていた彼女は

結構、幸せそうに見えた。

 


この2件の話とも、男性側からすれば成功し上手くいったので

なんだか感動する、恋愛ドラマにでもなりそうな話だ。

 

ただ、もし相手の女性がその場で

「あんたバカじゃないの?うわっ!気持ち悪い男!」

・・・だとか言っていたとしたなら

ただの「バカなストーカー男」の話だろう。

 

レベルは全く違うし、告白も出来なかったが
俺も高校生の頃、好きだった女の子の学校の住所録を見て

(当時は、個人情報ダラダラで教師を含め

学校の人間全員の住所が住所録に載っていた。)

彼女の家の前で、毎日ただただ彼女が帰って来るのを

見ていた(ただ見てただけ)事がある。

(今考えると我ながらキモイ!)

 

これを「純愛」と取るか

「ストーカー行為」と取るかを決められるのは

実は「見られていた女の子」だけなのだろうと思う。

 

まあ、はたから見ればストーカー一択なのだが。(笑)