おんまはみんなパッパカ走る

思い起こしばなし

お題 ドッキリの成功体験(?)

お題「ドッキリの成功体験を教えてください!」

 

ドッキリ・・・と言うか、子供の頃のイタズラ。

 

成功体験??

ドッキリの成功が、お互いに笑いあって終わり

・・・なのならば、俺の体験談は失敗だったと言える。

 

 

だいぶん、昔の事だが

中学1年生の頃、東北の田舎に住んでいた。

 

住んでいた家は平屋の借家で、

築古年のオンボロ住宅だった。

 

その当時の東北地方のド田舎でも

比較的新しい家や、マンションや喫茶店などは

水洗トイレになってる所も、結構あったのだが

俺の住んでたオンボロ住宅は、当然のごとく

ボットン便所(汲み取り式トイレ)だった。

 

住宅の隅っこの方にある、木製の引き戸を開けると

手前に男子の小用便器があり、その奥に更に開き戸があって

それを開けると、大用のボットンがあった。


便所には窓も無く、照明器具は裸電球が小用の天井と

大用の天井に各1個づつだったが、現代のトイレよりも

広いせいか、昼間でも何だか薄暗かった。

 

俺の家には、俺と同級生の従妹の女の子が

家が近所だったので、時々遊びに来ていた。

 

彼女とはクラスは違ったが、同じ学校に通っていたので

よく一緒に遊んだり、宿題をしたりしていた。

 

冬のある日の事、俺は唐突に、あるイタズラをする事を

思いついた。

(念の為に言うがエロではない。変な期待は不要。)

 

ウチのボロ屋の便所は、ボットン便所を出た所の

便所室の引き戸が、不思議な事に外鍵になっていた。

ちなみに賃貸住宅なので、俺は理由は知らない。

しかも電球のスイッチも、便所の外側にあった。

  ↓ こんな感じ

ここまで書くと、イタズラの内容が既に

バレバレだろうが、ご想像の通り

従妹を、薄暗い便所室に閉じ込めて

更に照明も消し真っ暗にして、怖がらせてやろう

・・・という作戦だ。

 

ちなみに従妹の家も、俺の家と同じく

当時はボットン便所で、照明も同じような裸電球。

 

従妹は、都会でも暮らしていた俺とは違って

生まれた時からの田舎暮らしなので

ボットン便所の不気味さや、薄暗さには慣れていて

たぶん、さほどは怖がらないだろうと思っていて

俺としては、ちょっとした

「ドッキリ」を、仕掛けたくらいのつもりだった。

(我ながら、言い訳がましいが・・・。)

 

従妹

「キャー、開かないわー!

もー!!チョット、誰か来て~!!」

俺(すぐに駆け付けて)

「へへへ。ビックリしたか?」

従妹

「もー! 今度やったら承知しないからね!」

「ゴメン、ゴメン。お詫びにアイスでも出したげるわ。」

 

・・・くらいの、イメージだった。

 

ところが、便所の電気のスイッチを消したとたん・・・。

 

「ぎゃあぁあああああああ!!!!!!」

引き戸を

ダダダダダダダーン!!ダダダダ!

ガタガタガタ!ダダダダ・・・・。

叩きまくる。

「あけろぉおお!!あげぇでえええ!!!」

 

俺は、そのあまりの怖がり様と、勢いで

(開けたら、タダでは済まないんじゃ??」

・・・と、ビビってしまい

便所の戸を開ける事が出来なくなってしまった。

 

ずっと叫び続け、戸を叩き続ける従妹。

ビビり過ぎて、動けない俺。

 

照明を消してから、数十分くらい経っただろうか・・・。

従妹が、だんだんと静かになって来た。

 

俺はしばらく聞き耳を立てていたが

そのうちに動く様子も無く、声も聞こえなくなった。

 

「え? まさか、死んだ?」

・・・そんな訳、ないけど。

 

俺は、恐る恐る、忍び足で便所の前まで行き

コッソリと、外鍵を開けるとまた忍び足で

部屋に戻った。

(電気のスイッチは怖くて付けていない。)

 

すると、5分くらい経ってから便所の戸が

ガラガラ、ダン!!
・・・と開く音が聞こえて、その後すぐに

従妹がゆっくりと部屋の中に入って来た。

 

従妹の髪は乱れ、顔は真っ赤だった。

そして、無言のまま血走った眼で、俺を睨んだ。

 

従妹は、部屋に置いてあった自分の荷物を手に持つと

何も言わずに、家の外に出て行った。

俺は彼女に、一言も声をかける事が出来無かった。

 

従妹が、それからしばらくの間、俺の家に来なくなり

学校でも、全く口さえきいてくれなくなったのは

言うまでもない・・・。

 

皆さんは調子に乗り過ぎて

こんな事は、やらないように・・・。