ゴキ〇リを、救いたまへ
仕事で、お客さんとなってくれた方が
ご夫婦とも、某新興宗教の熱心な信者さんだった。
少し、いや、結構しょっちゅう勧誘されたりはするが
それを除くと、とても良い方達だ。
ある天気の良い日、そのご夫婦の家の前を通ると
奥さんが家の前に立っていて、声をかけられた。
少しだけの世間話のつもりだったが、案の定
宗教っぽい話になり、生命の話になった。
この世の中の生命は、全て繋がっており
動物や鳥、魚や虫に至るまで
全ての生きとし生けるものは、大事にせなばならない
・・・といった話だ。
俺は無宗教ではあるが、この件に関しては
特に異存も文句もない。
奥さんの話を、ふんふんと頷いて聞いていると
ふいに、足元に黒い物体が走った。
かなり大きなゴキブリだった。
奥さんは、即座に足を振り上げ、素早くサンダルで
バンッ!!!と勢いよくゴキブリを踏みつぶした。
俺は、奥さんの足元のサンダルを見つめ
「生き物は大事にしなければいけないのでは?」
・・・と言うと
奥さんは
「ゴキブリは別よっ!」
・・・と平気な顔で答えた。
・・・どうも、ゴキブリは誰とも繋がってなくて
救う神は、どこにもいないらしい。
それこそ、どうでも良いのだが・・・。