おんまはみんなパッパカ走る

思い起こしばなし

お題

お題「邦画でも洋画でもアニメでも、泣けた!というレベルではなく、号泣した映画を教えてください。」

俺はワンコ好きなので、ワンコが主演レベルで出ている映画を見ると

漏れなく泣ける。

洋画だろうが邦画だろうが、死ななかろうが別れなかろうが

大概泣いている。

 

ので、身内や友人や恋人と、ワンコモノを見るのを避けている。

だって、はずい。

ワンコの映画は、一人で見るに限る。

 

アニメ映画だと、あまり泣けるの知らないかな?

映画ではなくて、テレビアニメではあるが

フランダースの犬」は号泣。

 

あと、古すぎて知らないだろうけど

ワンサくん」の第7話 大号泣。

 

ちなみに「ワンサくん」というのは、昭和40年代後半頃に

放送された、手塚治虫先生原作のアニメ。

人間社会で生きるキャラの強い、いい感じに擬人化された

飼犬達を中心に物語が進む。

(しかもミュージカル風に!今考えると斬新!)

ワンコ同志は普通に会話が出来て、人間の言葉も理解。

ただし、人間はワンコの言葉は解らない。

当時の時代を反映して、飼犬は雑種や中型犬が多数派で

屋外の犬小屋で飼われているワンコが多い。

街にはノラ犬やノラネコも沢山いて

飼犬も(物語の事情もあるのか)ほぼ放し飼いであったり

結構自由に、繋がれてる鎖や首輪から逃げ出して

自由奔放に街を闊歩している。

 

で、その感動話をかいつまんで。

 

主人公(男の子ワンコ)のワンサくんの大好きな女の子ワンコ

可愛くって少しクールな、みどりちゃんは生れてすぐに

お兄ちゃんワンコと一緒に、ダンボールに入れられ道端に捨てられた。

幼いながらもお兄ちゃんは、妹を一生懸命に守りながら

ふたりで、頑張って生きていた。

ある日、みどりちゃんだけが人間に拾われた。

「自分もいるよ」と人間に追いすがるお兄ちゃん。

しかし人間は冷たく、「着いて来るな」と足蹴に。

妹の幸せを願い、涙ながらに見送るお兄ちゃん。

お兄ちゃんを恋しがり鳴き続ける、みどりちゃん。

 

数年後、飼犬として幸せに暮らす、みどりちゃん。

ところが突如として、みどりちゃんの住む街に

凶暴な野犬の群れが出没して暴れ回る。

飼犬を襲ったり人間を襲ったりして、皆が恐怖に震える。

野犬のリーダーは特に凶暴な風貌だった。

しかしそのリーダーは、あの懐かしい

みどりちゃんのお兄ちゃんだった。

すぐに気付いたみどりちゃんは「お兄ちゃん!」と声をかけるが

妹を忘れてしまったのか、逆に襲い掛かられそうになる。

すんでの処で人間に追い立てられ、野犬たちは逃げて行く。

 

数日後、事件が起こった。

何台ものパトカーと人が集まっていた。

ワンサくんとみどりちゃんが、そこに駆けつけると

あの野犬のリーダーが、赤ちゃんの入った子守籠と

その少し離れたところで、青い顔をして震えている

母親らしき女に吠え掛かっていた。

赤ちゃんは泣きじゃくっていて、野犬は今にも女に襲い掛かりそうだ。

野犬は女に向かって吠えていたが、吠えるのをやめると

赤ちゃんに近づいていく。

誰もが、赤ちゃんが襲われる・・・と思った瞬間

銃声が響き渡り、「ギャウン」と低い声をあげ

野犬は横に飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられると

動かなくなった。

警官の一人が野犬を撃ったのだ。

「お兄ちゃん!」と駆け寄る、みどりちゃん。

 

お兄ちゃんは、みどりちゃんが連れて行かれたあとも

誰にも拾って貰えなかった。

日に日に汚くなり、痩せこけていった。

道を通る人間に愛想を振りまいても、追い払われた。

何も食べなくては死んでしまう。

ゴミ箱を漁り、それを見ている人間に吠え掛かり驚かせる。

人間はビックリして、買物カゴや袋を落としていった。

その中には食べ物が入っている事があった。

そんな事を繰り返してるので、同じ処にいられなくなり

捨てられた場所を離れ、放浪するようになった。

人間の子供が、汚い野犬だと石を投げつけて来るので

威嚇して吠えかかり、子供達を追い払う事も憶えた。

食べ物を探してさまよっていると、他の野犬から

ケンカを売られ、毎日ケンカをしているうちに強くなり

いつの間にか、他の野犬から一目置かれるようになった。

月日がたち、お兄ちゃんは野犬の群れのリーダーとなっていた。

 

ある日のこと、いつものように食料を求めて訪れた街で

ギャンギャンと吠えて邪魔をする、飼犬を少し痛めつけてやった。

するとその仲間の飼犬が集まって来て、その中に・・・。

「お兄ちゃん!」

忘れもしない、忘れる訳がない・・・妹だった。

駆け寄って話したい。

涙が出そうになる。

 

しかし自分が兄だと知った、飼犬の仲間たちは妹の事を

どう思うのだろうか?

自分はもう、昔の自分では無く怖い野犬、悪い野犬。

妹は自分と関わっても、何も良い事はない。

お兄ちゃんは、妹に対して威嚇して襲い掛かるフリをして

その場を立ち去った。

お兄ちゃんは街を出ようと決心した。

妹とは、もうかかわらない。

二度とは会わない。

 

数日後、お兄ちゃんは一頭でトボトボと歩いていた。

仲間の野犬とも別れ、この街を出て行こうとしていた。

そしてうらぶれた路地の片隅を歩いていて

それを見てしまったのだ。

 

人間の母親が、赤ちゃんの入った子守籠を抱いて歩いていた。

母親はあたりをキョロキョロと見回すと、赤ちゃんの入った籠を

路地の塀際に置いて、少し名残惜しそうに赤ちゃんの顔を撫でた。

そして、その場を急いで立ち去ろうとしたのだ。

 

母親は今まさに、自分の赤ちゃんを捨てたのだった。

 

それを見ていたお兄ちゃんは怒りに身体が震えた。

自分と妹が捨てられた記憶がまざまざと蘇る。

それからの苦くて辛い生活が、まざまざと思い出され

人間の赤ちゃんと、幼かった妹の姿が重なる。

 

お兄ちゃんは我慢が出来ず、人間の母親に走り寄る。

母親は急に現れた野犬にビックリして、その場にヘタりこむ。

お兄ちゃんは、母親を非難せずにはいられなかった。

「どうして人間は生きる命を、そんなに粗末に扱うのだ!

何も知らない生きる命を!」

凄い勢いで、母親に吠えたてる。

「思いなおせ!」

「思いなおせ!」

「思いなおせ!」

・・・と。

 

でも、その言葉は人間には届かない。

母親は野犬に吠えたてられ、怯えて立つ事さえできず

青い顔で震えている。

そのうち、騒ぎを聞いて周りの人間たちが集まってきた。

誰かが警察に通報する。

 

・・・・・・

赤ちゃんの泣いている声が聞こえた。

お兄ちゃんは、その赤ちゃんを見つめる。

赤ちゃんが、かつての妹の姿と重なる。

お兄ちゃんは、フラフラと赤ちゃんに近づいて行った。

ダーーーーン!!!!

・・・と、乾いた銃声が辺りに響き渡った。

・・・・。

 

みどりちゃんは、お兄ちゃんにしがみついた。

お兄ちゃんは目を開き、みどりちゃんを見つめる。

あの優しいお兄ちゃんの目だった。

お兄ちゃんは、静かに目を閉じた。

 

 

・・・と、まあ、こんな感じの話。

子供向けアニメとしては、なかなかのハード。

あと、思い入れがあるので少し盛っているかも。(笑)

 

先にも書いたけど、このアニメ

ミュージカル風なんだよね。

 

このシーンで流れる、みどりちゃんの唄う

「捨て犬の唄」がまた泣ける。

て言うか、この歌詞でまた泣いてしまう。

この歌の最後の部分。

 

どうして人は生きる命を、こんなに粗末に扱うのだろう?

小さな動物・人間ですら、捨てるという事の意味を知らずに。

二度と捨てないで!生きる命を!

お兄ちゃんの命を無駄にしないで!